仮庵の祭りは、イスラエルの三大祭り(過越の祭り、七週の祭り、仮庵の祭り)のひとつで、秋の大収穫祭にあたります。
レビ記22章26-23章44節や民数記29章12-16、ゼカリヤ14章が読まれます。
・ユダヤ暦ではティスレの月の15日から7日間行われ、8日目に「閉会の集会」(シェミニ・アツェレト)があります。シムハット・トーラー(律法の喜びの祭り) が同日。
・英語では “Feast of Tabernacles” または “Feast of Booths”。

出典:B.F.P.Japan
仮庵の祭りの二つの目的
仮庵の祭りは、ユダヤ暦の第7の月(ティシュリ/現代暦の9月下旬〜10月上旬頃)の15日から7日間行われます。
歴史的な記念(荒野での仮住まい)
イスラエル民族がエジプトから脱出した後、40年間荒野をさまよった不安定な生活を記念します。
律法(レビ記23章)に従い、この祭り期間中、人々は自宅の庭や屋上などに「仮庵」(スカー/Sukkah)と呼ばれる簡素な小屋を建てて、そこで食事をし、できる限り生活します。
神様が、先祖たちを荒野で守り、導いてくださった恵みを思い起こし、「私たちはこの地上では旅人であり、仮の住まいにいる」という信仰の真理を子孫に伝えるためのものです。
収穫への感謝(秋の収穫祭)
この時期は、ブドウ、オリーブ、イチジクなどの秋の農作物の収穫が終わる時期にあたります。
一年の豊かな実りを神に感謝する収穫祭としての側面も持ちます。そのため、この祭りはユダヤ教の祭りの中でも「喜びの祭り」として特に盛大に祝われます。
祭りの特徴的な慣習
仮庵(スカー)の建設と生活
仮庵の屋根は、雨風を完全に防がないよう、木の枝や草木で葺かれます。これは、荒野での生活が不安定であったことを表し、真のよりどころは神であることを示します。
イスラエルで生まれた者は、この7日間、仮庵の中で過ごすよう命じられています。
四種の植物(アルバー・ミニム)
仮庵の祭りでは、「四種の植物」(ヘブライ語でアルバー・ミニム)を手に持って、神殿や会堂(シナゴーグ)で喜びの祈りをささげる習慣があります。
- エトログ(シトロン/柑橘類)
- ルラヴ(ナツメヤシの枝)
- ハダス(ミルトスの枝)
- アラヴァ(川柳の枝)
これらを束ねて振り、全能の神への感謝と喜びを表します。
喜びの祭り
- ユダヤ教で最も喜ばしい祭りとされる
- 家族や友人を招いて祝う
現代でも世界中のユダヤ人コミュニティで大切に守られている祭りです。
水の注ぎの儀式(新約聖書との関連)

イエスと仮庵の祭り
古代のエルサレム神殿では、祭りの期間中、祭司がシロアムの池から水を汲み、それを祭壇に注ぐ「水の注ぎの儀式」が行われました。これは、荒野で神が岩から水を出された奇跡を記念し、将来メシアによって「命の水」(聖霊)が与えられることへの希望を込めたものでした。
新約聖書において、イエス・キリストは仮庵の祭りの最終日に立ち上がり、こう宣言しました。
「だれでも渇いているなら、わたしのところに来て飲みなさい。わたしを信じる者は、聖書に書いてあるとおり、その人の心の奥底から、生ける水の川が流れ出すようになる。」(ヨハネによる福音書 7:37-38)
これは、イエス・キリストこそが、人類が待ち望んでいた救い主(メシア)であり、「生ける水」(聖霊)を与える源であることを宣言された場面として、特に重要視されています。
終末的意義
ゼカリヤ書14:16–19には、終わりの日に諸国の民がエルサレムに上って仮庵の祭りを祝う預言があります。つまり、この祭りは終末の神の国の完成と諸国民の礼拝を象徴しています。
仮庵祭りのまとめ
仮庵の祭りは、
- 荒野での神の守りの記念
- 収穫への感謝
- 終末における神の国の完成の象徴
という三つの意味を持つ祭りです。
ユダヤ人にとっては一年で最も喜びにあふれる祝祭であり、クリスチャンにとっては「神が人と共に住まわれる」(インマヌエル)を思い起こす重要な祭りと受け止められます。
レビ記23章 – 祭りの基本規定と神学的意味
民数記 29章-仮庵の祭り期間中に捧げるべき献げ物の詳細な規定
ゼカリヤ14章 – 終末的成就と希望



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